tuneの日記

アジャイル開発、組織変革、ファシリテーションについて学んだことの記録

(スクラム)チームに人を連れてくる

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ひとさらいしたい!

はじめに

Regional Scrum Gathering Tokyo 2019のOpen Space Technologyで「隣の部署から借りているあの人を3ヶ月でもらう方法」というお題が出て参加してきました。

「ひとさらいしたい!」の文字が印象的ですが、本当にさらったことがある人はどうも少ないようなので、「チームに人を連れてくる」コツをここにまとめておきます。

以下、読む人にわかりやすいようにOSTで話した順番とは必ずしもあっていません。

話したこと

チームに必要な人を連れてくるのはマネージャーの仕事

そもそも論としてマネージャーの仕事は「人・モノ・カネ」の用意であると言われています。 「人さらい」というと物騒ですが、「チームに必要な人を探して連れてくる」のはマネージャーの立派な責務です。与えられたメンバーで最善を出そうとすることがマネージャーの仕事ではありません。

マネージャーという肩書きはなくとも、プロジェクトの責任者であればチームに必要な人を連れてくるのも仕事のうちの一つだと考えを改めた方がよいです。

専任を増やそう

よくあるのが兼任でプロジェクトに追加リソースが充てられるパターンです。30%だけとか、「50% - 50%」とかどこかで聞いたことや、やらされたことがあると思います。

過去のプロジェクトで追加人員をお願いした時に「50% - 50%」の人が2人割り当てられ、合わせて1人月のリソースとなったことがあります。50%の人がスクラムチームに入る問題として「イベントに来ない(来れない)」「イベントに来なくても強く怒れない」がありました。別「プロジェクトの打ち合わせがあるから月曜と水曜のデイリースクラムは欠席します。今週のスプリントレビューと振り返りは出れません。」といった類です。50%だと「どちらのプロジェクトも重要」となるので、このことを叱ることに躊躇してしまいました。

当時の解決策は上位の管理職に「人数が減っても良いので、プロジェクトの参加率が50%よりも多くなるメンバを作ってください」と調整を依頼しました。「50% - 50%」が2人ではなく。「100%」が1人や、「60%」の人と「40%」の人にして欲しいというものです。またスクラムへの参加が50%に満たない人をチームメンバから除外して、プロジェクトに関するチーム外の作業を割り振るようにしました。これは名前だけ載せておくと上の管理職にはたくさんの人が割り当たっているように見えるからです。

結果は50%の2人は100%の2人になって戻ってきました。

居心地のよい場所を作る

別の部署から連れてくる人は席が物理的に離れていることが多いので、チームに座席を作り、協力してもらう時間が長くなるようにするといったものがありました。場所を作るだけでなく、性能の良いPCを用意する、複数のディスプレイを用意する、楽しいチームの雰囲気、おやつなど元の部署より居心地が良いと思わせてついつい協力しすぎちゃう効果を狙いましょう。

正攻法でもらう

「現在のリソースではプロジェクトの進捗に支障が出ます。XXXが原因なので人を追加していただかないとスケジュールが遅延します」と上位の管理職にアラートを送るのが正攻法だと思います。スクラムの原則の一つに「透明性」がありますので、現在の進捗・進捗を阻む障害がなんであるか明確にしてチーム外に発信しましょう。コツは手を変え、品を変え、何度もアラートを上げることです。世の中には「何度も相談に来ないということは、もう解決したんだろう」と判断する上位管理職が少なからずいます。

借りている人員を返す時にこう言ってみてもいいかもしれません。「元のプロジェクトで必要としているのもわかりますが、うちのプロジェクトでも頼りにしている人材です。どちらのプロジェクトの専任とするかの調整はお任せしますが、本人の希望を聞いて、望ましいようにしてあげてください。」自分のプロジェクトになびいていることがわかっていれば、自信を持って言いましょう。メンバーのことを考えているいいリーダーだと思われる副次的な効果も狙えます。

人と予算がセットになっていて連れてこれない

SIer的な問題です。1つのプロジェクトに特定の人が結び付けられてしまうことで炎上するまでどうにも手出しができなくなってしまいます。

いくつかのプロジェクトをまとめ、それに複数の人材を「リソースプール」としてまとめて結び付けすることで、その中での人員融通がやりやすくなるかもしれません。エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリングの中でバッファはタスク単位でなくプロジェクト単位でまとめて管理することで見える化しやすくするといった話がありました。人月管理でも応用できる考え方かもしれません。

新人を連れてこよう

「新卒・新人」はしがらみが少なく、連れてきやすいタイプの人員です。 既存メンバーと比べてアウトプットが少ないのでは・・・と思いがちですが、新人に限らず誰でも参加してしばらくはアウトプットが出しにくいものです。 またチームに入ってからの成長を考えると伸び代が大きく期待できるかもしれません。

副次的な効果として中堅メンバが新人に教えることによりチーム内にコミュニケーションが生まれ、雰囲気がよくなることもあります。

「この仕事はスペシャリストが必要です。だから兼任でないとダメなんです。」

とよく聞く話ですが、本当にそうでしょうか? 専任のチームメンバでは学べないのでしょうか? スペシャリストがトラックに轢かれたらプロジェクト、ひいては会社の存亡の危機です!

まずはプロジェクトに必要な技術を棚卸しして、スキルマップを作ってみましょう。 チームにスペシャリストの仕事を誰か学んで身につけられないか聞いてみると良いでしょう。 その上でスペシャリストでないと担えないものが本当にあったのだとしたら、すぐに採用活動を始めた方が良いと思います。

チームをプロジェクトにあてる

スクラムは自己組織化したチームを作り、継続してプロダクト開発を行うことを良しとしていますが、実際は有期のプロジェクトが立ち上がり、そこに人が割り当てられることが多いです。 チームメンバは同じまま、新しいプロジェクトに割り当てることができれば、リーダーは強いチームを作るものという意識に向けさせられると考えます。

社外から連れてくる

社内から連れてくると揉め事になるため、急成長中の会社では社外から採用して連れてくるこを奨励していると聞きました。 転職が活発になってきた昨今ならではの動向だと思います。

攻めと守りを意識しよう

「連れてくる」ことばかり考えていると「連れていかれることもある」ことを忘れてしまうので、チームメンバーを守ることもお忘れなく。

急成長中のAI/ロボット会社の事例として、「社内に面白いプロジェクトが次々立ち上がるため、開発者が移って行ってしまう」というものがありました。今のプロジェクトが重要意義があることだと折に触れて伝えましょう。

(番外編)Netflixの話

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

「社外から連れてくる」「メンバを守る」で思い出して共有したのがNETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築くです。 今のNetflixを形作った文化、採用について書かれているのですが、下記のようなことが書かれています。

  1. 社員が本当に求めているのは福利厚生ではない。自社のビジネスをより深く勉強し学ぶ機会こそが人を惹きつける。
  2. Netflixは自社に合わなくなった、必要としなくなった社員を解雇するようにしているが、躊躇なく解雇するのは代わりの人材をいつでも補充できるようにしているから。採用は何より重要な活動で、社外から人材会社の人員をスカウトし、社内にヘッドハンティング組織を構築した。

終わりに

ここまでで30分です。 思い出しながらまとめるのは大変でしたが、濃密で楽しい時間が過ごせました。