ゆとりを計画しておく-物流業界の"Flying Spares"という考え方
はじめに
Blog: Allow for Uncertainty with Built-In Slack – The Flying Spare Example | Innolutionというブログ記事で、物流業界における「計画されたゆとりで不確実性に備える」例が紹介されていました。とても興味深い内容なので概要を紹介します。
Flying Sparesとは?
空っぽ、または積載量に空きがある飛行機を指した用語だそうです。 別の呼び方として"hot spares"とも呼びます。 ソフトウェア開発でいうと「ホットスタンバイ」のサーバが近い気がします。
他の飛行機の積み残しを搭載する、または故障時の代替として使用することを想定して「常に」用意するだそうです。 航空機を使った物流では下記の「不確実性」が日常的に発生しうるそうです。
- 顧客が持ち込んだ荷物が事前の連絡よりも大きかった
- 航空機機材の故障
- 天候不順
FedEx 1311便
FedEx 1311便は"Flying Spares"用の定期便らしくデンバーからFedExの拠点があるメンフィスまで定期運行しています。 空っぽの航空機を飛ばすにもパイロットや従業員が必要で、さらにこの便はデンバーからメンフィスまで直線距離(2時間15分)で向かうのではなく、ニューメキシコを経由して3時間30分のフライトをします。 1回の飛行にかかる費用は$30k(300万弱)とのことです。
それでもアメリカの南西部の空港で起きた不確実な事態に備えるため今日も飛んでいます。
おわりに
プロジェクト管理やリソース配分を考える際、つい不確実性を過小評価し、有事の際は頑張り・努力で対応して、結果スケジュールを遅らせてしまいがちです。 航空機を使った物流ビジネスほど大掛かりな準備が必要な分野でできている「計画されたゆとり」が、ソフトウェア開発で実現できないはずがないと考えました。