tuneの日記

アジャイル開発、組織変革、マネージメント、ファシリテーションについて学んだことの記録

期待からはじめる

今年は「今の仕事にワクワクしていません」という声をメンバーから聞く機会が増え、考えこむ機会が増えました。ワクワクとは何だろう・・・

新しい技術を取り入れること、新しい領域に取り組むこと、プロダクトや事業を大きく成長させること。さまざまなことが考えられます。 一方でその時の市場環境や事業環境を踏まえると、いつでも誰にでもワクワクする仕事は用意できないのではないか、そう考えている自分がいました。 でも「ワクワクしない」気持ちは、本当にそれらの要因から来ているのでしょうか?

数ヶ月に渡って悩んでいたある時、私が一緒に働くメンバーは「誰かの役に立つプロダクトを開発すること」がやりたくて集まってきていることをふと思い出しました。 採用面接で、中長期のキャリアを考える面談で、飲み会やふとした雑談で、何度も話し何度も聞いた話です。 そこに気がついてからは「誰かの役に立つと感じられるプロダクトが開発できていない」と問題を捉え直しました。 ユーザーにとっての利用価値や、事業戦略における重要性を噛み砕いて細かく説明することも考えました。しかし求められていることはこれでは無さそうだと考え、実行に移してはいません。 ワクワクを引き出すには、もっとメンバーの根源的な要求に応える必要があるはずです。

最終的に取った打ち手はすごくシンプルで「抽象度が高いまま課題をチーム/メンバーに与える」ことを意識して増やしました。 仕事の難易度は上がり、課題の理解や分解のためユーザーに接する機会が増え、企画・デザイン・開発といった職責の枠を超えて協力する必要が出てきます。 「難しい仕事をお願いしていることは認識しているつもりです。でもこれが会社のため・事業のため・皆さんのためになると考えてお願いしています。」メンバーが壁に当たっている時、意識して何度も口にして伝えました。

マネジメントキャリアを長く積むほど、「このぐらいの難易度が良いだろう」と無意識のうちに手加減ができてしまいます。段取りを整えてあげたり、大きな仕事の一部を切り出して与えたり、できるレベルの仕事に調整することはマネージャーが自然と身につけるスキルの1つです。でも、もっと期待をしてあげるべきなのではないでしょうか? コントロールできる範疇での挑戦から得られる学びに、ワクワクややりがいを感じてもらえるとは思えません。

今のメンバーといつまでも一緒に働けることはないでしょう。別れの時に「もっと色々挑戦したかった」と言われることはとても悲しいことです。誰の何のために仕事の難易度をセーブしていたのかと。 「相手に期待する」という当たり前のことから始める必要がある、これが私にとっての今年いちばんの学びでした。


この記事はEngineering Manager Advent Calendar 2日目の記事でした。

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