tuneの日記

アジャイル開発、組織変革、マネージメント、ファシリテーションについて学んだことの記録

スクラムフェス三河 2021でスクラムマスター育成の話をしてきました #scrummikawa

はじめに

スクラムフェス三河スクラムマスターの育成について話してきました。今年は会社からも5名の登壇者が出ており、普段の業務を通じた学びをコミュニティに少しは還元できたかなと思っております。

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2021/proposal/15593

資料をSpeaker Deckに公開していますが、はてなブックマークのホットエントリ入りした効果か、スクラムフェス三河の参加者以外にも読まれているようですので、当日の発表・スクラムフェス三河のDiscordで捕捉した事項も本記事で紹介しておきます。

発表の捕捉

なんでこんな話したの?

アジャイルスクラム系の情報発信、勉強会・カンファレンスで多く登壇機会をいただいているおかげか、「うちも(大規模)スクラムやろうと思っているのですが、少し話を伺えませんか?」というお話をいただく機会が少なからずあります。数社お話して毎回質問されるのが「チームが増えたときにスクラムマスターの成り手がいないのですがどう対処したのですか?」というものです。最初はその会社固有の課題なのかと思いましたが、話を伺った会社全てに聞かれた気がしたのでこれはひょっとして普遍的な悩みなのかと考えるようになりました。あまりにたくさん聞かれたので、このブログでも5月に一度記事を書いています。

tune.hatenadiary.jp

あらためて読み直すとスクフェス三河発表スライドよりも情報量多いですね💦

リーダー・管理職は、どうしてスクラムマスター不向きなの?

「権力勾配を使って自分の意見を押し通しやすい」ため、"名前を付け替えただけで何も変わってない"状態に陥りやすいと思っています。

※リーダー=会社・組織で定義されているチームリーダーのような役職を指してます

スクラムがやりたい人」は、どうしてスクラムマスター不向きなの?

熱意があるのは素晴らしいのですが「本に書いてあるからこのやり方が正しい!あの人はスクラムの勉強が足りてない!!異論は認めない!!!」という対立構造を引き起こしがちな気がしています。私たちは価値提供・課題解決をしたいのであって、スクラムをやりたいわけではないはずです。

悩み続ける人はスクラムマスターに向いているの?

メンバーからの「どうしてスクラムだとこういうやり方をするんですか?」という質問に対し、自分たちの言葉で答えを考え続ける方が、その組織にあった良いやり方に辿り着ける確率が高いと思います。

スクラムマスターは役割なの?

スクラムガイドを参照したところ「責任」と言う表現を使っていました。

スクラムチーム全体が、スプリントごとに価値のある有⽤なインクリメントを作成する責任を持つ。 スクラムスクラムチームにおいて、開発者、プロダクトオーナー、スクラムマスターという 3 つの明確な責任を定義する。

スクラムガイド 2020版

いずれにせよ、「スクラムチーム全体が、スプリントごとに価値のある有⽤なインクリメントを作成する責任を持つ。」なので、スクラムマスター一人が勉強して、スクラムの全てに責任を負わせているような体制は良くないと思います。

開発者兼任のスクラムマスターってどうなの?

「専任はダメ」としているのではなく「専任でも兼任でもいいよ。結果的に全員兼任を選んでいるよ」という状態です。 スクラムマスターに話を聞くとームの状況に応じ、開発に割く時間は増やしたり減らしたりしているそうです。 「他の開発者と同じぐらいコード書いてね」という前提がなければ良いと私は思うのですが、専任にすべき派の意見も聞いてみたいところです。

スクラムを好きになってくれるかもわからないのに「あなたはスクラムマスターになったのだから真のリーダーとしてサーバントリーダーシップを発揮し、スクラムチームとその外の組織に奉仕する必要がある」と言われても困ってしまうと思うのです。

教科書通りやることが何より難しいんだけど

「教科書通りやることだけ」を注文すると案外できますよ。 最初からいろいろスクラムマスターに色々求めすぎているのでは?

スクラムマスターじゃなかったら」という前提条件の外し方はどういうこと?

スクラムでの正解が欲しいのか、問題に対しての打ち手が欲しいのかでいうと、ほとんどのケースは後者だと思うのです。

スクラムマスターとしてはお給料上がらないということ?

スライドの表現が紛らわしかったなと思っています。

  • エンジニア共通のグレード定義がされており、社員はいずれかのグレードに分けられる (よくあるグレード制度・役割等級制度)
  • スクラムマスターは役割」であり、どのグレードに所属していもスクラムマスターになれる
  • グレードで定義された役割・成果が果たせていれば昇格する。

スライドで伝えたかったことは下記です。 - エンジニアのグレード定義とは別にスクラムマスターのグレード定義を用意しているわけではない。 - スクラムマスターの次に、シニアスクラムマスターとかアジャイルコーチのようなキャリアパスを社内で整備しているわけではない