tuneの日記

アジャイル開発、組織変革、マネージメント、ファシリテーションについて学んだことの記録

「モノリスからマイクロサービスへ」を読んで考えたこと

2021年に会社で読書会をし、社外の方とも別途読書会をしたほどの本でしたが、タイミングを逃して感想を書いてなかったので残しておきます。

マイクロサービスに取り組む上での基礎や重要事項が丁寧に説明されている

1章と5章が特に良かったです。

  • なぜマイクロサービスに取り組むのか。
  • 3つの疑問。1. 達成したいこと、2. 代替案がないか、3. 成功の基準。
  • マイクロサービスで守るべきこと

などなど。

3章と4章はテコ入れの界面を見定めて徐々に新しステムに切り替えていくストラングラーパターンをサービス内・DBで行うような似た話が続いており、ここを工夫できればもっと短く上手くまとめられそうなのになと感じました。

書籍全体の印象としてはマイクロサービスを考え始めたぐらいの時期から、実際に進めていて壁にぶつかったあたりまでに読むのが良さそうです。 関係者の知識や思想を揃えるにはいい本でした。マイクロサービスを推進していく上での実践テクニックはそこまでカバーされていません。

モジュラモノリスそんなにいいものだろうか

書籍ではマイクロサービスが一押しというわけではなく、なぜマイクロサービスに取り組むのか・モノリスではダメなのかという話も同じくらい重きを置いて説明されています。 デプロイ単位としてまとまっているが、内部の作りは分けられたモジュラモノリスも書籍で触れられていますが、読書会でもモジュラモノリスに惹かれるメンバーがいました。個人の感想としてはモジュラモノリスフレームワークの後押しが欠かせないと感じていて、知っている限りだと取り組むのに向いているフレームワークはあまりないかなという印象です。強いて言えばRails Engineなのかな?

自社でも一つ、小さなサービスの寄り合いになっているサービスをモジュラモノリスのように作ってみましたが、内部で知らず知らずのうちに依存関係を持ってしまったことが後日わかり、切り離す判断が遅れていたらもっと結びつきが強くなってただろうなと思います。フレームワークで依存関係を防止できるか検出できるようになってないと厳しい印象です。 モジュラモノリスに取り組んでいるところがあればぜひ話を聞いてみたいなと思いました。

マイクロサービス移行は文化の変革である

自社のマイクロサービス移行は数年かけた計画になっており、早くともあと3〜4年かかるかなという見立てですが、書籍でもマイクロサービス移行は文化を変える必要があり、長い時間がかかるとはっきりと書かれています。 自社の力不足や怠慢で時間がかかっているのではなく、開発文化を変えながら進める必要があるためこれぐらいかかるのが当たり前だという時間軸の認識を揃えられたのが良かったです。

異なるプロダクトに取り組んでいる人同士で話すと違った気づきがある

冒頭で触れた通り社内読書会と社外読書会で2回読みましたが、それぞれ違った気づきがありました。

社内メンバーとの読書会は会社のプロダクトの歴史を踏まえ深く議論することができますが、経験が似ているからか観点は偏りがちで、書籍で意図が汲み取れなかった箇所が社内メンバー全員わからずといったこともありました。

社外メンバーとの読書会では、経験・背景が異なるので、「こういう経験があった」「こういうことかと受け取った」といった話を広く聞くことができ、いろんな視点から本の内容を考えることができました。2022年も何かの本を選んで社外の方と話をすると面白いかも。

他に気になっているマイクロサービス本

会社でマイクロサービス導入を始めた2019年に読んでこれは完走しました。だいぶ前の本ですが、内容が大きく古びていることもなく今でもおすすめかと。

まだ未読ですが、「モノリスからマイクロサービスへ」よりも実践的な内容がカバーされている印象を持っています。