LeSS Study LeSS本読書会 第4回
第3回に引き続き、恵比寿 Redhatさんでの開催でした。 3回に渡って続いていた第2章が終わり、第3章もテンポよく終わりました。
Q: 「少しかじる」は「スパイク」と同じ?
A: 「少しかじる」は将来の計画や全体のアーキテクチャを詳細に詰めるには知識が不足しているので、試しに何か取り組んでみて、わかったことを踏まえて少しずつ肉付けしていこうというアプローチ。
「スパイク」は将来のスプリントで障害になりそうな項目に事前に取り組んで見通しをよくすること。(スクラムにおける技術的スパイクの進め方 | Ryuzee.com)
重複しているものもあるが、スパイクの方がより広い活動をカバーしている…ように思える。
Q: LeSSを導入する際に「教育とコーチングの提供」とあるけどどうするのがよい?
A: 大規模スクラムの本を読む。他のLeSS本もあるけど実践編の位置付けなので入門には辛そう。
実践者研修は3日で30万円とおすすめだけど少し高価に感じる。だがプロジェクトの失敗コストを考えたら10人送り込んで300万円くらい十分ペイするのではないか。みんな教育にかける投資を軽視しがちだよねー。
Q: ボランティア募ってLeSS導入を進めるんだね
A: LeSSを導入すると決めたプロダクトの担当からボランティアを募るのではなく、全体からボランティアを募ると本では書かれている。LeSSの導入はトップダウンだけでなくボトムアップの力も必要なので狭い範囲から探すよりも、全体から熱意のある人を探して集めた方が良い…ということかな。
Q: 著者は特定の団体・バックグラウンドを持つ人に恨みがあるのかな?
A: 「元PMIプロジェクトマネージャだというだけでLeSS導入者に任命するな」ということに対しての指摘。 著者が個人的に嫌な経験があったのかもしれないけど、著者が伝えたいのは「肩書きでなく、実際に手や頭を動かして組織文化を変えたことがある人を探せ」ということなのだと思います。
Q: ラーマンの法則って聞いたことがないんだけど
A: ラーマンの法則とは下記を指す。
- 組織は、中間および現場のマネージャーや、単一専門職といったポジションの権力構造を維持するために、暗黙に最適化されています。
- 1の結果として、組織を変えようとする試みは、今まで使っていた用語をただ、別の名前に変えるか、用語を大量につくって何か分からなくする事で現状を維持します。
- 1 の結果として、組織を変えようとする試みは、弱みを指摘される事を嫌がったり、マネージャー/スペシャリストの現状を維持しようとする人々により、「純粋主義者」「理論主義者」「革命主義者」「現実に合わせるためにカスタマイズが必要だ」と非難されます。
- 文化は構造に従います。
要するに「スクラムを導入したけどこれまでのプロジェクトマネージャーがスクラムマスターという呼び名に変わっただけで、中身はスクラムのプラクティスをつまみ食いしていて全然アジャイルな開発できてないよね」という、よく起きがちな状況を揶揄したものです。
この法則他で聞かないよねという話になりましたが、大規模スクラム本の著者「クレイグ・ラーマン」氏が この本で提唱した法則 だからだと思います。
Q: LeSSは導入時に雇用を保証するんだね
A: 導入が進むと組織がフラットになり、マネージャー層の役割が減ってくるから給料が減ったり、仕事がなくなるかもという不安は排除しなければならない。そうしておかないとLeSS導入の障害となり、あの手この手で妨害してくるかもしれない。
海外の企業だと個人が優秀かどうかに関係なく、部門ごと閉鎖しまとめて首を切る「ポジションクローズ」があるため、LeSSのこの考え方は結構珍しいのかもしれない。
Q: 並列組織がよくわからなかった
A: 既存の組織構造を少しずつ変えてLeSSを導入するのではなく、LeSS導入後の受け皿組織を先に作り、LeSS導入が済んだチーム・メンバを新しい組織に移動しながら導入を進める方法。

大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS) アジャイルとスクラムを大規模に実装する方法
- 作者: 榎本明仁,木村卓央,高江洲睦,荒瀬中人,水野正隆,守田憲司
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2019/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る